ここで、Slashdotでも紹介されている問題のキャンペーンの登場です。
本家ページでも、あたかも、無条件に無料であるかに宣伝されている。
IP電話から固定電話当ての電話料金が完全に無料になるというのです。
これが実現できれば一般の電話会社に加入する必要性すら疑われる大きな出来事です。この記事から派生して幾つかのサイトでは大々的にBlogなどで紹介されているようです。
使用感もSkypeにそっくり。
特徴的なのは、相手の固定電話、携帯電話もプロファイルに表示されている点。
Windows、Mac、Linux版のクライアントが無料でダウンロードできる。
Gizmo無料通話神話の光と陰
無料で電話できるとありますが、厳密には「The All Calls Free calling plan applies when both call participants are active Gizmo Project users making a few phone calls per week with Gizmo Project.」と説明されています。
つまり、週に何回かはGizmoを利用しているアクティブなユーザー同士だけが、無料で互いの固定電話にも発信できます……ということになります。この内容だけを見れば確かに適当にGizmoを無料で利用し続ければ、そのまま無料時代が続くかのようにも読み取れます。
また、レジスト直後には無料のプリペイドポイントが付与されているので実際に固定電話に発信することができます。
ところが、約款(Agreement)を読んでみると以下のように厳密に「アクティブユーザー」が定義されています。
* Making PC-to-PC calls(PC同士で通話実績がある)
* Inviting friends to download and use Gizmo Project, encouraging them to put their telephone numbers (landline and mobile) into their profile(友人にGizmoのダウンロードを紹介し、プロファイルに固定電話番号を入力してもらっている)
* Adding those friends to their buddy list(友人同士をコンタクトリストに追加してもらっている)
* Sending instant messages (IMs) between users(インスタントメッセージ=チャットをユーザー同士で利用している)
* Making online purchases periodically (for identity verification)(定期的に有料の通話を利用している)
問題となるのは最後の条件ですが、それにしてもアクティブユーザーでいるための条件はそれなりにハードルが高いことがわかります。発信する都度ダミーアカウントの固定電話番号を変更しただけで無料通話を維持できると思ったら大きな間違いなのです。
しかも最後の行にあるとおり、有料通話利用者であり続けないと友人同士の無料通話は維持できないということになります。
Slashdotの功罪
Gizmoで固定電話に対する無料通話が可能らしいという話は、実際Slashdotの記事を見た知人から聞きました。
記事では「早速インストール、アカウントを二つ取得して片方のProfileにPCなんか持ってもいない親戚の番号を設定したところ、まんまと無料で長電話できてしまった。
どういう、ビジネスモデルで無料にできるのかわからないのだが、大変画期的な事には間違いない。
個人的には、いずれ電話なんてタダ(誤差)になるに決まっていると思っているのだが、ずいぶん前倒しになりそうな予感がする出来事だ。」と紹介されている。
この記事を読んだ人々の一部が、こぞってGizmoを諸手を挙げて紹介しているのも事実なのです。(2006年8月現在)
一応、アクティブユーザーであることが条件と書いてはありますが、あまりにも誤解を助長する引用であることに間違いありません。無責任な検証結果にも閉口する限りです。